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MCT通信Vol.2「その方らしさに深く寄りそう」介護サービスを目指して
~ベネッセグループが選んだエネルギーアップ素材“MCT” ~

毎日のお食事が“その方らしい生き方”を支える

ご入居者様の想いに寄りそう「自発支援®」

ベネッセグループは、1995年「Benesse(=よく生きる)」への社名変更と同時期に、子どもだけでなくご高齢の方へのサービスにチャレンジするため、介護事業への参入を開始しました。介護事業においては「その方らしさに、深く寄りそう。」という理念を掲げ、ご高齢者やそのご家族の方の想いを尊重することを心がけています。そして、ご本人様が歩まれてきた人生そのものにも寄りそい、しっかりと理解し、介護サービスに反映させることを大切にしています。

有料老人ホームでは、ご入居者様の自発的な活動を支援する「自発支援(R)」に取り組んでいます。料理や釣り、時にはお仲間と一緒に楽器の演奏会など、ご生活の中でお一人おひとりのやりたいことに挑戦していただけるようサポートしています。また、ご入居者様を支えるスタッフの人財育成にも注力しています。介護技術はもちろん、マナーやサービス、ご入居者様のことをよく知るための傾聴や会話の技術、認知症ケア等、長年のノウハウを共通言語化し、職員全員が徹底した介護サービスを提供できるよう努めています。

お食事への想い ~安全・栄養・楽しみ~

 ご入居者様の想いや、やりたいことの実現をお手伝いするためにも、日々の生活をお食事で支えたいと思っています。注力しているポイントは「安全」「栄養」、そして「ご入居者様に楽しんでいただくこと」の3つです。日々のお食事はもちろん、特にイベント食はご入居者様の声を基にしながら、ライブ感も大事にしています。目の前で魚をさばいたり天ぷらを揚げたり、中にはご入居者様に参加していただく料理教室を企画して自分たちで作るホームもあります。

当社のホームには7つのシリーズ(※)があり、シリーズによってお食事のコンセプトが異なります。シリーズによっては、セントラルキッチンおよび配食サービス事業を担う、同グループの(株)ベネッセパレットで製造したお食事を提供しています。それらのホームでは再加熱・盛り付けのみを行い、ソフト食・ミキサー食についても調理者間・ホーム間によって物性がばらつくことなく、統一したクオリティで提供できるように取り組んでいます。

安全・栄養面が担保できることはもちろん、“ご入居者の皆様の声をきちんと反映できること”がグループ内でセントラルキッチンをもつ最大のメリットだと思います。

※セントラルキッチン製造のお食事は主に「ここち」で提供しています

お食事を通じて「生きる楽しみ」を提供したい

色・香り・盛り付け…喜ばれるお食事を目指して

食事サービス企画部では、ホームの献立管理やイベントの企画などを行っています。“ご自宅で過ごしてきた時と同じように、おいしいお食事を召し上がってほしい”、そんな想いでご入居者様のお食事・栄養管理に従事しています。

ホームのお食事は、通常食・一口大・きざみ・ソフト・ミキサー、計5つの食形態をご用意しています。通常食はもちろんですが、当社では、ソフト食やミキサー食こそおいしく召し上がっていただけるよう、盛り付け・見た目を工夫しています。見た目=視覚からの情報は、おいしさにとって欠かせません。

一般的にソフト食やミキサー食などの嚥下調整食は、食材をミキサーにかける必要があるため、おいしさが伝わりにくいと思います。だからこそ、料理の色彩や盛り付け、トッピングするソースのかけ方などの工夫を凝らして、思わず食べたくなるような嚥下調整食を提供できるようにしています。

そして、なるべくご自宅で召し上がっていた時のようなおいしい食材を使用したり、外食に行かれた時のワクワク 感を演出したり、そういった食べることのひとつ上の“楽 しみ” という点も大切に、ご入居者の皆様に喜んでいただけるようなお食事を目指しています。

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嚥下調整食の課題「量」と「栄養」MCTを使った“ゼリー粥”で解決!

嚥下調整食は食形態が下がるにつれて、栄養価をキープすることが難しくなります。当社は、毎日提供する主食のエネルギーをアップさせるため、ソフト食・ミキサー食の主食である「ゼリー粥」に注目しました。

以前のゼリー粥は、食形態に合った物性にするため、水分を多く必要とし、どうしてもお粥の量が多くなっていました。そのため必要エネルギー量を充足させるためには、提供量を増やす必要があり、ご入居者様にとって食べきることが難しい点が大きな課題でした。

そこで、ゼリー粥の課題となる「量」と「栄養」の解決のために、当社が選んだのは“MCT”でした。エネルギーアップにつながるMCTを使用することで、ゼリー粥自体の量を見直すことができました。お茶碗で提供できる程度の量まで少なくなったため、主食を完食できる方やおかずまで手が伸びる方も増えました。毎日提供する主食だからこそ、無理なくおいしく召し上がっていただきたいと思っています。

ソフト食・ミキサー食の主食“ゼリー粥”の開発背景

物性調整の難しいお粥を、自社のセントラルキッチンで作る

セントラルキッチンでゼリー粥の製造を開始したのは2014年です。それ以前は、各ホームの厨房内で作った全粥をミキサーにかけてから、さらに物性を調整していました。

しかし、お米による付着性や粘着性の問題で、ホーム間や調理者間で物性にばらつきが出てしまい、統一した品質での提供に課題がありました。その課題を解消するため、セントラルキッチンで統一した品質での製造に至りました。

ゼリー粥は冷凍状態でホームに届けられ、厨房内で湯せんやスチームコンベクションなどで温めた後、盛り付けて提供しています。より安全なお食事の提供を、しかも調理工程を減らして実現できたということは、ご入居者様にとっても厨房職員にとってもWin-Winなことだと思います。

「1g= 約1kcal」のゼリー粥を実現。MCT でエネルギーをベースアップ!

製造当初のゼリー粥は、1食あたり260gの提供量で153kcalでした。当初の目的だった“統一した物性”という課題はセントラルキッチンでの製造によってクリアできましたが、ここで第2の課題となる「量」の問題が浮上しました。当時提供していた260gのお粥は想像以上に量が多く、実際、食べきれず残してしまうご入居者様も多くいらっしゃいました。そこで、エネルギーはそのままに量を減らすための改良を行うこととなりました。

糖や油脂をベースとした様々な素材でゼリー粥の栄養価を上げる方法を模索する中、たどり着いたのが、当時注目されていた「MCTオイル」でした。油のため1gで9kcalのエネルギーが確保できること、非常にエネルギー効率が良いことに加え、MCTオイル自体の味や物性がゼリー粥の邪魔にならないことや、その他機能性について様々な研究結果が報告されている点など、複数のメリットに魅力を感じ、2017年より導入を開始しています。また、糖や油脂をベースとした他の素材よりもMCTオイルを使用する方がエネルギーをカバーできる分、ゼリー粥の主原料となる米粉の使用量が減り、結果的に費用面の負担も軽減できました。ゼリー粥は2021年秋の改良を経て、現在は1食あたり150gの提供量で152kcal、「1g=約1kcal」を実現しました。

MCT活用の場は配食サービスにも拡大予定

今後、ホームで好評のゼリー粥は在宅高齢者向けの配食サービスにも展開する予定です。また、量を変えずにエネルギーアップできるMCTを使用したおかずについても導入を検討しています。

「食べること=生きること」です。“食べる”という生きる喜びを、おいしいお食事を通じてお届けしたいと思っています。

ホームのご入居者様はもちろん在宅の方々のサポートも視野に入れ、配食サービスを通じてご高齢者の健康寿命の延伸にも貢献できるよう、さらに取り組みを拡大していきたいと考えています。

リハビリホーム(※)におけるMCTの研究

当社の中心は有料老人ホームの運営ですが、介護事業としては他にもお弁当の配食サービスや介護・看護の人材派遣、老人ホームの紹介等、様々な事業に取り組んでいます。これらの事業の根底には、「トータルシニアリビング」という、ホームのご入居者様のみではなく、ホームの入居を検討されている方や、ご自宅で暮らし続けたい方にも、私たちのサービスでQOLの向上に貢献したいという想いがあります。

また当社では現在、リハビリサービスを提供する機能訓練指導員の配置に加えて、「フレイル予防」を視野に、より栄養バランスに配慮したお食事の提供にも取り組んでいます。特に今秋開設予定のホームでは、MCTの研究報告をヒントに、毎日のお食事にMCTオイルを取り入れる試みにも着手しています。特製のオリジナルスムージーに分離しにくいMCTオイルを加えて、ご入居者様に提供する予定です。

今後も日清オイリオ様と一緒にMCTの可能性を探究していきたいと考えております。

※「リハビリホーム」は、ベネッセの有料老人ホームの中で、機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの有資格者)を概ね合計週40時間配置したホームです

ベネッセスタイルケア様のイベント食をご紹介

病院・施設さんに知ってほしい!

イベント食のソフト食・ミキサー食は一部をセントラルキッチンで開発・製造しています。(※)
通常食により近い見た目で提供できるよう、色彩や盛り付けにもこだわっています。
イベント食の主食も”ゼリー粥”。「おいしさ」や「楽しさ」だけでなく、栄養面にも配慮したお食事を提供しています。

※セントラルキッチン製造のソフト食・ミキサー食は約8割のホームで提供しています

夏祭りイベントメニュー

各ホームごとに様々なイベントを企画・実施している夏祭り。お食事も夏祭りにぴったりの、じゃがバター・焼き鳥・たこ焼き・チョコバナナなどの屋台グルメを提供。色彩豊かに仕上げた、セントラルキッチンの自信作です。

移動レストランのお食事

グランダシリーズでは、2ヶ月に1度、シェフをホームに招き、レストランのようなお食事を提供するイベント“移動レストラン”を開催。
通常食はもちろん、嚥下調整食も本格的なメニューを提供。

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企業DATE

株式会社ベネッセスタイルケア / 株式会社ベネッセパレット

教育事業の実績を重ねるベネッセグループが、介護事業への参入を開始したのは1995年。2000年に株式会社ベネッセケア(現ベネッセスタイルケア)を設立し、主に有料老人ホームの運営を行っている。2013年には、同じく介護事業のひとつとして配食サービスを行う株式会社ベネッセパレットを設立。ベネッセグループが掲げる「よく生きる(Benesse)」をご高齢者に向けてもお手伝いすることで、「人」の生涯に寄りそうことを目指した介護サービスを提供している。

※本記事は株式会社ベネッセスタイルケア様、株式会社ベネッセパレット様に取材させていただいた内容を基に制作しています。

インタビュー動画 ベネッセスタイルケア様 編

〜有料老人ホームのお食事で"MCT"を活用〜

介護業界を牽引するトップ企業の「ベネッセスタイルケア」様へインタビューを行いました。

ぜひこの機会に、貴重なインタビュー動画をご覧ください。

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