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嚥下調整食の特徴
〜飲み込みやすさに配慮した食事を提供するためのポイント〜

嚥下(えんげ)機能とは、食べ物や飲み物を口に入れて飲み込み、食道から胃へと送り込むはたらきのことです。このように嚥下機能が低下した方に配慮し、飲み込みやすさを工夫した食事のことを「嚥下調整食」と呼びます。嚥下機能が低下した方に配慮した嚥下調整食には、嚥下能力に応じたさまざまな食事形態があります。ここではその具体例とともに嚥下調整食を提供する際のポイントをご紹介します。

PROFILE

在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養師

髙﨑 美幸先生

嚥下機能が低下する原因

嚥下機能が低下する原因として、加齢に伴う筋力や反射機能の変化が挙げられます。高齢になると、嚥下に関わる筋肉の動きが鈍くなり、飲み込みのタイミングなどに影響が出ることがあるのです。また、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経疾患によって嚥下機能が低下し嚥下障害が起こることもあります。

嚥下機能が低下すると、口から喉への送り込みがうまくできなくなったり、飲食物などが気道に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こしたりするリスクがあります。また、脱水や栄養不足により全身状態が悪化することもあります。誤嚥を引き起こさないためには、機能が低下している状態でも飲み込みやすくする工夫が大切です。そのように配慮した食事が「嚥下調整食」です。嚥下調整食は物性や形態の調整だけでなく、姿勢や一口量、摂取速度などを含めて総合的に対応することが重要です。

嚥下調整食の分類基準

嚥下調整食の分類基準としては、日本摂食嚥下リハビリテーション学会による「日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2021」(以下、「学会分類2021」)が広く使用されています。学会分類は、2013年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会の医療検討委員会によって初めて発表され、最新の知見を反映して2021年に改訂されたものです。この分類は、国内の医療機関や福祉関係者などが共通の基準として利用できるよう、嚥下調整食の形態やとろみの物性を段階的かつ体系的に示したものです1)

学会分類2021以外にも複数の嚥下調整食の分類基準が存在します。たとえば、日本介護食品協議会が作成したユニバーサルデザインフード(UDF)は主に咀嚼機能に応じた食品形態をわかりやすく示したものです2)。また、消費者庁が認可する特別用途食品「えん下困難者用食品」では、硬さ、付着性、凝集性に応じた規格基準が定められています3)。このように、嚥下調整食には複数の分類体系が存在し、それぞれの立場や目的に応じて使い分けられています。

病院・施設で提供されている嚥下調整食とは?

病院や施設給食では古くから咀嚼や嚥下機能に配慮した食事が提供されてきました。これらは一般的にミキサー食、ムース食、ゼリー食などと呼ばれることが多く、それぞれの特徴は以下の通りです。

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嚥下機能への配慮という観点では、これらの分類はやや大まかであるともいえます。そのため、摂食嚥下リハビリテーションに重点を置いた現場では、より細かく段階分けされた「学会分類2021」に準拠した食形態へと見直しを行っている施設も少なくありません。

在宅における嚥下調整食の調理のポイント

在宅で嚥下調整食を調理する際は、専門家の指導の下、食事の工夫を行うことが大切です。以下に主な調理のポイントを示します。

・とろみをつける

飲み物や液体でむせる方は、とろみ調整食品などを用いて適度な粘度を与えるとよいでしょう。口の中でまとまりやすくなり、飲み込みが楽になりますが、必要以上のとろみのつけすぎには注意が必要です。

・ゼリー状にする

ゼリーを好む方は、飲み物をゼラチンやゲル化剤でゼリー状にするとよいでしょう。ゼリーは食べる楽しみにもつながり、水分補給の助けにもなります。

・温度に配慮する

温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供することで、食事のおいしさをより感じてもらいやすくなります。

・食材の大きさや柔らかさを均等に調節する

ミキサーや裏ごし器などで大きさや柔らかさを均等に調節すると、食べやすく飲み込みやすくなります。

嚥下調整食のメリットと課題

嚥下調整食には、咀嚼や嚥下がしやすくなるというメリットがあります。一方で、加水によって栄養密度が低下し、栄養価が下がりやすいという課題もあります。特に高齢者はエネルギーやたんぱく質の摂取が不足しやすく、体重減少に伴う低栄養のリスクが高まります。嚥下調整食を提供する際には、このような低栄養を防ぐための工夫も重要です。

監修

在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養師 髙﨑 美幸先生

名古屋栄養短期大学を卒業後、医療機関や食事サービス会社などで経験を積む。日本健康・栄養システム学会、日本在宅栄養管理学会、日本栄養治療学会に所属。在宅での栄養ケアをはじめ、栄養に関する多数の著書がある。

参考

1)日摂食嚥下リハ会誌『日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021』(2021)25(2): P135-138.

2)日本介護食品協議会「ユニバーサルデザインフードとは」https://www.udf.jp/outline/udf.html

3)消費者庁「特別用途食品について」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses

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